なぜ?ウルトラマンのマンガ本がマレーシアで発禁処分



ウルトラマンシリーズと言えば、日本の生んだ世界に誇るべき巨大特撮ヒーローシリーズです。

1966年に第1作目の『ウルトラマン』放映開始以降、現在に至るまでに合計27作ものテレビシリーズが制作され、『最も多くの派生シリーズが制作されたテレビ番組』としてギネスブックの世界記録にも認定されています。

世界各国でも人気のウルトラマンシリーズですが、2014年2月、マレーシアでウルトラマンを題材にしたマンガ本が当局から発禁処分を受けたというニュースが流れ、話題を呼びました。

なぜ、ウルトラマンのマンガが発禁処分を受けてしまったのでしょうか?




●宗教の問題が生んだ発禁処分

マレーシアの国営通信によると、発禁の対象となったのは、『ウルトラマン ザ・ウルトラパワー』というタイトルのマンガ本。このマンガをマレーシア国内に輸入、または発行した者には最大で禁錮3年の刑罰が科せられるということです。

発禁の原因となったのは、ウルトラマンシリーズに登場するヒーローの一人、ウルトラマンキングについて解説している部分で『ウルトラマンキングは最年長でアッラーと見なされている』と表記されていることにあるようです。

マレーシアは多民族国家ですが、人口の半数以上を敬虔なイスラム教徒であるマレー系の人が占めています。信仰の自由は保障されていますが、同時にイスラム教を国教と定めており、その為、同作中の『アッラー』の表現が問題視されたと考えられます。

なお、この『ウルトラマン ザ・ウルトラパワー』は日本の円谷プロダクションの許諾を得ずに発行された海賊本であることを公表、「内容を許諾した出版物ではない」との声明を発表しています。

発禁対象になったのはこの本だけであり、他のウルトラマン関連の出版物は問題なく販売されているそうです。また、ウルトラマンシリーズ全体に対しても、特に影響は出ていないということです。




●他にもあった。日本作品が禁止された例

日本のアニメや特撮作品が他国で禁止された事例として有名なのは、ロボットアニメ『超電磁マシーン ボルテスⅤ(ファイブ)』がフィリピンで放送禁止になった事件でしょう。

フィリピンで1978年に放送開始された『ボルテスⅤ』は子どもたちの絶大な人気を獲得し、最高視聴率58%という記録しました。しかし、子どもたちの間の人気とは裏腹に、大人の中にはこの作品を快く思わなかったものも多く『暴力的である』という批判が相次ぎました。

これには第二次世界大戦の影響で当時も根強かった反日感情が影響したと考えられています。

最終回放映直前の1979年8月になって、当時のフェルディナンド・マルコス大統領が放送禁止を宣言し、放映は打ち切られました。このことは日本のマスコミでも話題となり、大きく取り上げられています。

1986年、マルコス政権が崩壊した後、打ち切りで放送されなかった残りのエピソードが放送されましたが、この時には不思議な事に、マルコス政権時代のような大々的な批判は一切なかったとされています。

マルコス政権時代に『ボルテスⅤ』が批判された理由については、作品の後半が革命を描く内容であった為、独裁的なマルコス政権に忌避されたという説、あるいは当時同番組を配給していた放送会社が政権とのパイプを持っていなかったため、利権問題で不当な扱いを受けた、と言った説も存在しています。




■おわりに

政治や宗教の影響で、子どもたち向けの作品が迫害を受けるというのは、なんとも残念な話ですね。

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