まるで「ミクロの決死圏」?薬のように飲み込むタイプのカプセル内視鏡が発売!



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1966年に公開されたアメリカのSF映画『ミクロの決死圏』。

物質をミクロ化する技術を使い、患者の体内にミクロサイズの潜水艇を送り込んで患部を治療するというアイデアは当時話題になりました。

イスラエルのGiven Imaging社が開発した2つのビデオカメラを搭載したカプセル内視鏡『Pillcam』がアメリカの食品医薬品局で承認され、一般の医療現場での利用が開始されました。




■患者に大きな負担をかける大腸内視鏡検査

身体表面の病気やケガと違い、内臓の患部は外から直接見ることはできません。患部の状態を観察するには、開腹手術を行うか身体の開口部(口や肛門)から見るしかないでしょう。

『人間の体内を覗く』ための器具は、既に紀元前、古代ローマやギリシアの時代には存在していました。

19世紀に入ると現代の内視鏡の元型となる医療機器の開発が進みますが、本格的な内視鏡=胃カメラが開発されたのは1950年、東京大学医学部附属病院の宇治達郎氏とオリンパス光学工業(現オリンパス)の杉浦睦夫、深海正治両氏でした。

この時特許申請の際に用いられた『ガストロカメラ』の名称から、日本では現代でも医療用内視鏡を『胃カメラ』と呼ぶことがあります。

内視鏡検査は、腹手術のような大きな負担を患者にかけることのない画期的な検査法でしたが、それでも負担が全くなくなるわけではありません。

特に、肛門からグラスファイバー製のカメラを挿入し直腸等を検査する大腸内視鏡検査の場合、複雑に曲がりくねった腸内にカメラを挿入して検査を行うには相応の技量が要求されます。

術者の技量レベルによっては、カメラを無理に通そうとして腸壁を傷つけたり、場合には破いてしまう事も起こります。

そうならなくても、無理にカメラを挿入していこうとすれば患者はかなりの苦痛を感じることになります。

欧米では大腸内視鏡検査は全身麻酔をして行うことが一般的ですが、麻酔に依存してしまうと今度は麻酔事故の増加に繋がります。

日本では胃カメラ発明当時、やはり麻酔依存による事故が増加したこともあり、できるだけ麻酔に依存しない内視鏡検査が行われることが通例になっているそうです。




■安価で負担も大幅に軽減できるカプセル内視鏡

PillCamは、患者にとって負担の大きなファイバー内視鏡に代わり、体内の様子を検査可能とする新しい機器です。

Pillcamは大きく2つの装置で出来ています。

ひとつは、薬のカプセル錠より少し大きめのカプセル、もうひとつは検査を受ける患者が腰の近くに装着する受信装置です。患者は薬と同じようにPillcamを飲んで使います。

Pillcamには前後に2つの超小型ビデオカメラが内蔵されており、体内の画像を撮影することが可能です。

カメラが撮影した画像データは患者が身につけている受信装置が受信し、そのデータを引き出すことで実際に見ることが可能になります。

カメラにはバッテリーが内蔵されており、約8時間の活動が可能です。

ただ、現状ではまだ完全にPillcamがファイバー式内視鏡に取って代わるところまでには至っていません。それはPillcamの画像精度がまだ十分といえる程高くはないからです。

しかし、大腸内視鏡検査に心理的に強い抵抗を感じ検査を拒絶する患者は多く、そうした患者の選択肢のひとつとしてPillcamは使われていくであろうと専門家たちは考えています。

更に、検査にかかるコストが格安であるのもPillcamのメリットです。

Pillcamを使った検査は、従来の大腸内視鏡検査にかかるコストのおよそ1/8程度の費用で済みます。




■おわりに

確かに、胃カメラを飲んだり直腸に挿入されたりというのは、考えただけでもあまり気分のいいものではありませんね。

より実用的なものに進化していくことを期待したいところです。
 

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