実はヤマト運輸をスポンサーにする必要はなかった?「魔女の宅急便」と商標問題を深く掘り下げてみた



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2014年春に実写版映画がロードショー予定されている「魔女の宅急便」。スタジオジブリのアニメのファンもたくさんいますね。

「宅急便」と言えばクロネコヤマトの宅配便の商標です。だからヤマト運輸をスポンサーにすることで解決しました。これについては以前の記事でも軽くご紹介しましたね。

しかしヤマト運輸がスポンサーにつくまでには色々と問題があったようです。更に今では「実はスポンサーにつけなくても良かったのでは?説」なんてのも語られています。

今回は「魔女の宅急便」と「ジブリ」と「ヤマト運輸」がどうやって今の状態に落ち着いたか。と言うお話です。




■始まりは1985年に出た児童文学

1976年に始まった「クロネコヤマトの宅急便」は日本の民間宅配便第一号でした。

「魔女の宅急便」の原作は1985年に発表された児童向けファンタジー小説です。出版当時「宅急便」といういい方が既に一般化していました。作者の角野栄子さんは「宅急便」が登録商標だと思わずに本のタイトルをつけ、出版社も全然気付かなかったのです。

本は人気作品となり、児童文学としてはベストセラーになりました。しかしヤマト運輸はこの時点では何も言ってきませんでした。


■アニメ制作が進んで、初めてみんなが気付く!

1989年、スタジオジブリによってアニメ映画化されることになりました。この時も宮崎監督はじめジブリサイドは「宅急便」は一般名称だと思っていました。

メディアで映画の宣伝が報道されるようになってヤマト運輸から「それ、うちの登録商標なんですけど・・・」と、ジブリに忠告がきました。そこで初めて「え、そうだったんですか!」となったのでした。


■文句つけたらイメージが下がる?ヤマトの困惑と作戦

ジブリとしてはもう映画は完成間近で、今更タイトル変更などできない段階でした。しかしヤマトは「宅急便を使うな」とは請求しませんでした。人気の高いジブリのアニメ最新作をボツにすることになれば、逆に自社のイメージが悪くなってしまうと思ったからです。

そこでヤマトは、自社もジブリもWin-Winになる作戦を提案します。

「うちの宣伝に、アニメ自由に使わせてください!」

ということで、話し合いの結果ヤマト運輸は映画の筆頭スポンサーになり「クロネコヤマトの宅急便」とタイアップしたTVCMが流れたりしました。




■宅配便といえば「宅急便」?!

ヤマトは映画公開直前に、新聞にこんなキャッチコピーの広告を出します。

「ヤマトは大きく成長しました。今や、宅急便は一般名称となりつつあります。」

これを見た世の中の多くの人が「宅急便はヤマトの登録商標なんだ」と、改めて知ることになります。

「魔女の宅急便」は大ヒット映画になります。ヤマト運輸には絶大な宣伝効果がもたらされ、両者めでたしめでたしとなりました。


■ここで話は終わりじゃない!

ここまでは、ジブリやクロネコヤマトのトリビアとしてもよく語られているお話です。でもちょっと待って!

「魔女の宅急便」はベストセラー文学です。ジブリが映画にする以前に、角野栄子さんに「『魔女の宅配便』に変えて」って請求するのが筋じゃないんですか?

なぜヤマト運輸はジブリに忠告し、角野さんは関係なくずっと「魔女の宅急便」シリーズを書き続けられたのでしょうか?


■実は商標権侵害なんてしてなかったんです

実は、法律の解釈では映画や書籍のタイトルは商標の対象ではないそうです。だから本が売れてもヤマトは何も言わず、タダで宣伝してもらっていたわけです。

ヤマトがジブリに忠告したのは、「もし映画がコケたら逆にイメージダウンになるのでは」という心配があったから、とも言われています。

「魔女の宅急便」の前のジブリ作品は「となりのトトロ」だったんですが、実は映画は赤字だったんですね。




ヤマトとジブリの話し合いの中で、”今度の映画はハズさない”と判断されたようです。

それよりも、お話の中にジジという黒猫が出てきたことが、ヤマトに心配を乗り越えてスポンサーを決意させるきっかけになったとか。

結局、映画は大当たりしヤマト運輸は更に成長し、角野さんはおとがめなく作品を発表し続けられました。

すべての成功は、黒猫ジジがもたらしてくれた「縁」だったのかもしれませんね。

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